導入|「何を目指している会社ですか?」
先日、十数年ぶりに、元上司と会った。
彼は今、民間企業から公立高校の校長先生になっている。
久しぶりの会話の中で、ふと、こう聞かれた。
「お前の会社は、何を目指しているんだ?」
その瞬間、私は言葉に詰まった。
売上目標。
事業の拡大。
社員数の話。
いろいろ頭には浮かんだが、
どれも“答え”ではないと直感的に分かった。
彼が聞きたかったのは、数字でも、計画でもない。
「お前は、何を大事にして経営しているんだ?」
その一点だった。
第1章|校長は「何を変えるか」ではなく、「何を守るか」を語る
彼の話は、印象的だった。
公立高校の校長には任期がある。
異動ではなく、毎回「応募・試験・面談」を経て就く、
転職に近いポジションだ。
任期は限られている。
校長が変わるたびに、学校のやり方をガラッと変えることはできない。
だから彼は言った。
「やることは、前の校長と大きくは変えない。
でも、“何を大事にするか”だけは、必ず語る。」
・生徒をどう見るのか
・先生をどう信じるのか
・判断に迷ったとき、何を優先するのか
方法は同じでも、結果は変わる。
それは、「判断基準」が変わるからだ。
この話を聞いたとき、私は経営とまったく同じ構造だと感じた。
第2章|MVVが“判断基準”にならない会社の共通点
多くの会社には、MVVがある。
Mission
Vision
Value
立派な言葉も、きれいなスライドもある。
それでも、現場ではこう言われる。
「結局、ケースバイケースだよね」
「今回は例外で」
例外が増えた瞬間、MVVは飾りになる。
なぜか。答えはシンプルだ。
経営者と幹部が、その基準で動いていないから。
・数字が苦しいときは無視される
・都合が悪いときは後回しにされる
・判断が人によって変わる
これでは、社員は語れない。
語れないものは、継承できない。
第3章|「会社は3代目で失敗する」と言われる本当の理由
よく言われる言葉がある。
「会社は3代目で失敗する」
これは、能力の問題ではない。
構造の問題だ。
創業期:想いがある
安定期:仕組みができる
変革期:何か新しいことをしようとして失敗する
なぜ失敗するのか。
“何を守るか”が語られていないまま、
“何を変えるか”に手を出すからだ。
語られていない価値観は、次の世代に引き継がれない。
引き継がれない会社は、判断がブレる。
第4章|経営とは「構造化」である
経営とは、カリスマでも、センスでもない。
構造だ。
判断に迷ったとき、何を優先するのか
失敗したとき、どう扱うのか
人をどう信じるのか
これを、
誰でも言葉にできる状態にしておくこと。
それが、経営の仕事だ。
校長が変わっても、学校が崩れないのはなぜか。
判断基準が語られているから。
結章|語れない会社は、継承できない
経営のゴールは、ここにある。
語れる→継承できる→判断できる→任せられる→AIも人に語ることができる
語ることができない会社は、
人にも、次の世代にも、AIにも伝わらない。
ファンタス流経営哲学は、派手な戦略の話ではない。
「何で判断する会社なのか」を、
毎日、語れる状態をつくること。
それだけだ。
【CAOポチのひと吠え】経営とは、 何をやるかを決めることじゃない。 何を基準に、決め続けるかを語ることだ。
署名
CAOポチ(Chief Animal Officer / FANTAS Division 編集長)
“語れない経営は、継承できない。”―CAOポチ
次回予告
なぜMVVは、現場で使われなくなるのか
― 判断基準を“例外”で壊す会社の正体 ―





